【溝口情報局】 5分で分かる!糖尿病の合併症

血糖値が高いとどうなるか

血液ドロドロの血管血糖値が高い状態を簡単に言うと、血管の中に砂糖水がドロドロと流れているような状態です。
ドロドロの血液が流れ続ければ、血管はだんだんと傷んでいきます。血管が傷つくと、血管の壁にプラークというコレステロールの塊ができて、血管の壁が厚くなります。これを「動脈硬化」といいます。

糖尿病の方は、血糖値が高くなりやすい分、健康な人と比べて動脈硬化が進みやすくなります。
初めは自覚症状がほとんどありませんが、放っておくと、全身の血管や神経が傷ついてさまざまな障害が出てくるのが怖いところです。

糖尿病の治療の目的は、血糖値が高いことによって起こる「合併症」を予防して、健康な人と変わらない生活を送ることです。
糖尿病になったとしても、血糖値をうまくコントロールしていけば、起こるかもしれない怖い病気のリスクを減らすことができます。
合併症を大きく分けると、

  1. 動脈硬化により太い血管が傷ついて起こる「大血管障害」
  2. 細い血管が傷ついて起こる「細小血管障害」

この2つに分けられます。

糖尿病の合併症① 太い血管の障害

血栓ができた血管太い血管というのは、主に脳や心臓、足を通る血管のことです。
血管が狭くなったり詰まったりして血液の流れが悪くなると、その先にある細胞に酸素や栄養が届けられなくなるので、臓器や筋肉がダメージを受けます。

脳の血管が詰まるのが脳梗塞、心臓の血管が狭くなるのが狭心症、詰まってしまうのが心筋梗塞です。
糖尿病の方は、糖尿病でない方と比べて、脳梗塞は3~6倍、狭心症・心筋梗塞は2~4倍 頻度が多いといわれています。

また、足の動脈硬化が進んで、血液の流れが悪くなる病気を「末梢動脈疾患」といいます。
あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、実は足を切断する原因として一番多い病気です。

初めは、歩くときに足がしびれる、痛い、冷たいなどの症状が現れます。さらに進むと、足に「潰瘍(かいよう)」といって皮膚が深くえぐれた状態になったり、足が腐ってしまったりして、最悪の場合、足を切断しなくてはいけない場合もあります。
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糖尿病の合併症② 細い血管の障害

細小血管障害は、糖尿病の三大合併症と言われます。
1つ目は神経障害、2つ目は網膜症、3つ目は腎症です。頭文字をとって、「しめじ」と覚えましょう。
し:神経障害
め:網膜症(目)
じ:腎症

神経障害

末梢神経と中枢神経私たちの体の中の神経は、大きく2つに分けられます。
1つは、脳・脊髄を通る「中枢神経」、もう1つは、中枢神経から枝分かれして体のすみずみまで通っている「末梢神経」です。
糖尿病の神経障害は、「末梢神経」が傷つくことで起こります。末梢神経は、体のすみずみまで張り巡らされていますが、長い神経の先ほど、酸素や栄養が行き渡りにくいです。そのため、まずは足先から症状が出やすくなります。よくあるのは、足の痛みやしびれといった症状です。他にも、足に虫が這うような感覚や、足の裏に紙を貼ったような感じを訴える方もいらっしゃいます。
糖尿病の神経障害の場合は、左右対称に症状がでるのが特徴です。症状が進んでいくと、けがや火傷などの痛み、熱さを感じにくくなります。すると、けがをしても気が付かずに放置しまい、足が腐って 最悪の場合、指や足を切断しなければならないこともあります。糖尿病の方は、傷やひび割れ、腫れなどがないか、自分の足をチェックする習慣をつけると安心です。

全身がしびれている人末梢神経の障害には、他にも「運動」と「自律神経」の障害があります。感覚障害は、手足だけでなく、心筋梗塞や狭心症からくる胸の痛みを感じにくくなり、発見や治療が遅れる場合もあります。これはかなり怖いですよね。他の症状としては、こむら返り、まぶたが開かない、口元がゆがむ、立ち眩み、下痢、便秘、排尿障害、不整脈が起きやすいといった症状も 神経障害の一つです。

糖尿病の末梢神経障害

感覚障害
運動障害
自律神経障害
症状
手足の痛みやしびれ
手足の痛みを感じない
心筋梗塞や狭心症の痛みを感じない
こむら返り
まぶたが開かない
口元がゆがむ
立ち眩み
下痢・便秘
排尿障害
不整脈が起きやすい

目の障害(網膜症)

網膜は、光を感じ取るカメラのフィルムのような役割があり、細い血管が一面に張り巡らされています。血液がドロドロの状態だと、まず、このような細い血管がやられてしまい、小さなこぶができたり、小さな出血が起こります。さらに血管の詰まりが進むと、網膜へ届けられる血液が減るので、その分酸素も少なくなります。すると、私たちの体はこれに対応するために、新しく血管をつくって網膜へ血液を届けようとするのです。新しい血管は、簡単に出血しやすく、出血すると急激に視力が低下します。

日本では、失明の原因のトップは緑内障、2番目が糖尿病性網膜症です。怖いですよね。症状が無くても網膜症が進んでいる場合もあるので、糖尿病は治療しているけれど眼科は受診していないという方は、眼科でチェックしてもらってください。網膜症を早めに見つけ治療することで、症状の悪化を防ぐことができます。

腎症

腎臓は、体の中の要らないものを尿として体の外に出す働きをしています。他にも、体の水分やミネラルのバランスを保ったり、血圧を調節したり、赤血球や骨を作るのにも関係しています。
腎臓も細い血管がたくさん集まっているので、糖尿病の影響で血管が傷つきやすいです。腎臓の働きが悪くなっても、初めは自覚症状が少ないですが、次第にむくみや貧血などさまざまな不調を起こします。そして、腎臓の働きがかなり悪くなり、機能が果たせなくなると、透析治療が必要になります。透析は、週に2,3回、1回3~4時間くらいかけて血液を入れ替える治療です。これは、日常生活にかなり負担がかかると思います。こうなる前に、糖尿病を適切に治療したり、定期的に腎臓の働きを調べる検査をしていくことが大切です。

まとめ

糖尿病の合併症

糖尿病合併症まとめ

このような合併症を予防するためには、日頃の血糖値のコントロールが重要です。健診で指摘があっても受診するタイミングを逃していた方や、以前通院していたけれど治療を中断してしまっている方は、早めに病院に受診することをお勧めします。
また、糖尿病で治療をされている方は、これからも定期的に検査をして、必要な治療を受けていきましょう。そして、食事や運動で糖尿病を予防・改善できるよう一緒に頑張っていきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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院長 溝口哲弘

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