企業が知っておきたいリスクアセスメントと健康診断

業種別・作業別の化学物質管理マニュアルとは?

「仕事で洗剤や塗料、接着剤などを使っているけれど、化学物質の管理はこれで大丈夫だろうか?」

「従業員にどの健康診断を受けてもらえばいいのか分からない」

このような疑問をお持ちの企業の経営者や安全衛生担当者の方も多いのではないでしょうか。

化学物質というと、化学工場など一部の事業所だけの問題と思われがちですが、実際には、建設業、製造業、ビルメンテナンス業、飲食店、介護施設など、さまざまな職場で洗浄剤、塗料、接着剤、薬液などが使用されています。

厚生労働省によると、危険性・有害性のある化学物質による休業4日以上の労働災害は年間400件以上発生しており、化学工業だけではなく、幅広い業種・作業で発生しています。([厚生労働省][2])

こうした背景から、厚生労働省では「業種・作業別の化学物質管理マニュアル」と、その内容を詳しく説明する「化学物質管理マニュアル解説テキスト」を公開しています。

参照ページ:厚生労働省 化学物質のリスクアセスメントについて

業種・作業別の化学物質管理マニュアルとは?

化学物質管理マニュアルは、職場で化学物質を取り扱う際の「リスクアセスメント」を行いやすくするために作られた資料です。

リスクアセスメントとは、職場で使用している化学物質にどのような危険性・有害性があるのかを確認し、労働者への健康影響などのリスクを評価し、必要な対策を行う一連の取り組みです。

厚生労働省の業種・作業別マニュアルでは、典型的な作業について、あらかじめ行われた濃度測定結果などをもとに、必要な換気、作業方法、保護具などが整理されています。

実際の作業内容がマニュアルで想定されている条件と一致し、記載された対策を適切に実施できる場合には、作業ごとに労働者のばく露濃度を測定しなくても、リスク低減措置を実施できる仕組みになっています。([厚生労働省][2])

どのような業種・作業が対象になっている?

2026年9月時点で、厚生労働省からさまざまな業種・作業のマニュアルが公開されています。

例えば、

  • ビルメンテナンス業での床・トイレ・シンクなどの洗浄
  • 食料品製造業での設備や容器の洗浄
  • 飲食店での洗浄作業
  • 自動車補修塗装、工業塗装
  • 集成材・合板などの接着作業
  • 内装仕上工事での接着作業
  • 金属製品製造業でのめっき作業
  • 社会福祉施設・介護サービス施設での洗浄・消毒作業
  • 泡消火薬剤の交換作業

などがあります。([厚生労働省][2])

「うちは化学工場ではないから関係ない」と考えるのではなく、日常的に使っている洗剤、塗料、接着剤、薬液などを一度確認してみることが大切です。

建設業には専用のマニュアルがあります

建設業については、建設業労働災害防止協会(建災防)が「建設業における化学物質取扱い作業リスク管理マニュアル」を公開しています。

例えば、

  • セメント系粉体を取り扱う作業
  • コンクリートを使用する作業
  • 塗装作業
  • 防水工事
  • シーリング作業
  • 接着作業
  • アスファルト舗装工事

など、実際の建設現場を想定したマニュアルと記入要領が用意されています。([検査標本所][3])

使用する製品のSDS(安全データシート)を確認し、製品名、含まれる化学物質、危険有害性などを確認したうえで、作業方法や使用する保護具などを記録していきます。

まず確認したいのが「SDS」です

職場で化学製品を使用している場合、まず確認していただきたいのがSDS(Safety Data Sheet:安全データシート)です。

SDSには、その製品に含まれる化学物質、人体への有害性、取り扱い上の注意点、必要な保護具などが記載されています。

特に、

「塗料を使っている」
「シンナーを使っている」
「洗浄剤を使っている」
「接着剤を使っている」

というだけでは、必要な健康管理を判断することはできません。

同じ「塗料」「洗浄剤」であっても、含まれている化学物質によって対応が変わるためです。

製品名だけではなく、SDSまで確認することが重要です。

化学物質を扱っていれば特殊健康診断が必要?

ここは非常に重要なポイントです。

「化学物質を扱っている=全員が特殊健康診断を受ける」
というわけではありません。

会社が行う健康診断には、大きく分けて、通常の定期健康診断と、一定の有害業務に従事する方を対象とした健康診断があります。

労働安全衛生規則第44条では、常時使用する労働者に対し、原則として1年以内ごとに1回、定期健康診断を行うことが定められています。([厚生労働省][4])

一方、有機溶剤や特定化学物質など、法令で定められた物質を取り扱う場合には、対象となる労働者に特殊健康診断などが必要になる場合があります。

さらに2024年4月からは「リスクアセスメント対象物健康診断」という仕組みも始まっています。

リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う業務に常時従事する労働者について、リスクアセスメントの結果から必要があると判断した場合には、医師等が必要と判断した項目について健康診断を行います。

また、濃度基準値が設定されている物質について、基準を超えてばく露したおそれがある場合には、速やかに健康診断を行う仕組みも設けられています。([厚生労働省][1])

つまり、これからの化学物質の健康管理では、

「何という製品を使っているか」
「どの化学物質が含まれているか」
「どのような作業をしているか」
「どの程度ばく露する可能性があるか」

を確認したうえで、必要な対策や健康診断を考えることが大切です。

「自社では、どの健康診断が必要?」と迷ったら

実務では、ここが一番分かりにくいところだと思います。

  • 一般の定期健康診断だけでよいのか。
  • 有機溶剤などの特殊健康診断が必要なのか。
  • 会社から指定された検査項目を追加する必要があるのか。
  • 使用している化学物質に応じた検査が必要なのか。

企業の担当者だけで判断するのが難しいケースも少なくありません。

溝口ファミリークリニックでは、袋井市を中心に、磐田市・掛川市など周辺地域の企業・事業所の健康診断についてご相談を受け付けています。

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一般的な雇入れ時健康診断・定期健康診断に加え、有機溶剤健康診断などにも対応しています。

化学物質を取り扱っている企業の方は、可能であれば、

  • 使用している製品名
  • 製品のSDS
  • 業務内容
  • 会社から指定されている健康診断の書類
  • 現在実施している健康診断の内容

をご用意のうえ、ご相談ください。

内容を確認したうえで、当院で対応可能な健康診断についてご案内します。

なお、必要となる健康診断の最終的な判断は、使用物質や作業状況、リスクアセスメントの結果などによって異なります。すべての化学物質取扱者に同じ検査が必要になるわけではありません。

企業の健康診断をまとめて相談したいご担当者さまへ

「毎年の企業健診をまとめてお願いしたい」

「新しく従業員を採用するので雇入れ時健診をお願いしたい」

「有機溶剤を使用しているが、どの健診を受ければよいか相談したい」

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このようなご相談にも対応しています。

溝口ファミリークリニックでは、企業・団体の健診担当者さま専用のLINE窓口をご用意しています。

日程、人数、健診項目、見積りなどについて、まずはお気軽にお問い合わせください。

従業員の健康を守ることはもちろんですが、安全衛生担当者の方が「毎年の健診をどう手配したらよいのか」と悩まなくてもよい仕組みを作ることも、地域のクリニックの大切な役割だと考えています。

袋井市・磐田市・掛川市周辺で企業健診、定期健康診断、雇入れ時健康診断、有機溶剤健康診断などをご検討の企業・事業所の方は、溝口ファミリークリニックまでご相談ください。

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[1]: “リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドラインの策定について|厚生労働省”

[2]: “化学物質のリスクアセスメントについて|厚生労働省”

[3]: “建設業における新たな化学物質管理とは|建設業における化学物質管理|建災防”

[4]: “労働安全衛生規則(◆昭和47年09月30日労働省令第32号)“