【健康まめ知識】生理について 第9回

大喜びの女性地域の皆さんの幸せと健康を願う当院。
今回は女性の健康を考える上では欠かせない「生理」について、10回にわたってお伝えしていきます。

正常な生理とはどういう状態なのか、年齢による変化はあるのか、月経前症候群(PMS)や生理痛を和らげるにはどうしたらよいのか…といった様々な情報を掲載予定です。
本情報により、少しでも皆さんが快適に過ごせるお手伝いが出来たらと思います。

食事と生理

「セロトニン」のもとになるたんぱく質とビタミンB6

「セロトニン」はハッピーホルモンとも呼ばれ、心を安定させたり、精神を落ち着かせたりします。似たような働きをするものに、「ドーパミン」というトキメキや達成感や満足感を生じさせるホルモンや「ノルアドレナリン」という集中力ややる気をもたらすホルモンがあります。ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、この3つがバランスよく働いているとやる気が出て頑張れたりリラックスできたりと心が健康な状態でいられます。ポイントは、どれも多くても少なくてもダメで、バランスがとれていることです。

ですが、生理前の1週間は「心の安定」担当のセロトニンの量が減ってしまいます。原因はまだわかっていません。しかし、セロトニンが減ることにより、ドーパミンとノルアドレナリンだけになるとイライラ、不安感、ネガティブ、やる気が出ない、抑うつ、食欲が増す、攻撃性が高まるなどのことが起こります。これらの症状は、特にセロトニンを増やすことでよくなります。

セロトニンのもとになる物質は「トリプトファン」とよばれるアミノ酸、ビタミンB6、そして炭水化物です。これらが多く含まれるのは、魚、バナナ、キウイ、イチジクなどのフルーツ、納豆などの大豆製品、カシューナッツやアーモンド、クルミといったナッツ類、小豆やインゲン豆などの豆類です。1日当たり必要なのは、豆なら30粒ほどなので、納豆を1パック食べれば十分です。ナッツなら7~10粒程度がいいでしょう。

ごはんを食べると、食後に心が落ち着いたり気持ちが明るくなったりしませんか?
また、スイーツを食べるとむしゃくしゃした気分が収まるという人は多いと思います。これは、「気がする」という話ではなく、糖質をとると実際にセロトニンが増加するためです。ですので、炭水化物をきちんと食べることは重要です。

おすすめのメニューは納豆ご飯です。トリプトファン、ビタミンB6、マグネシウムをすべて含んでいます。朝からご飯を炊くのが面倒であれば、コンビニの納豆巻きという手もあります。さらに、卵を加えれば、たんぱく質がより増えて最強のご飯となります。洋食派にはヨーグルトにバナナを入れるのがおすすめです。キウイにしてもよいですね。

セロトニンは食べただけではできません。必ず太陽を浴びましょう。朝の光の方が効果が高いので10時までには浴びましょう。セロトニンを作るには「目から光が入ればいい」と言われています。さらに、ウォーキングなど一定のリズムを刻む運動でもセロトニンは分泌されます。朝起きたらカーテンを開けて、日の光を浴びましょう。朝ごはんを食べ、運動がてら15分ほど歩くと完璧です。セロトニンをたくさん体の中で作っておくと、夜にメラトニンもしっかりと作られます。つまり、夜にぐっすりと眠ることができるのです。

ビタミンD

痛み止めを飲むくらい生理痛がひどい人はビタミンDが足りていないかもしれません。PMSで情緒不安定になる人も同じです。

ビタミンDはこれまでビタミンだと思われていたのですが、近年の研究により女性ホルモンや男性ホルモンに似たホルモンの一種であると理解されるようになりました。なぜかというと、セロトニンと同じく日の光を浴びると作り出すことができるからです。

ビタミンDは女性の健康にとっていいことだらけです。生理痛やPMSの軽減はもちろん、自然妊娠や不妊治療の成功率を上げて、流産をくいとめるなどの働きがあります。つまり、子宮の健康を守ります。

体の中のビタミンDのうち、食べ物からとれるのは2割のみ。残りの8割は紫外線に当たることで体の中で作られます。セロトニンと違い、ビタミンDを作るための光はいつでも大丈夫です。
ただし、UVクリーム等の紫外線対策をしていると作られにくくなります。残念ながらビタミンDは紫外線が皮膚に直接あたることで作られるのです。紫外線にはいくつか波長がありますので、ビタミンDを作る波長だけ通すUVクリームなどもあります。

ちなみにビタミンDを多く含む食品は鮭、さんま、いわし、カレイなどの魚、卵、チーズ、乾燥していない生のキノコ類です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

【参考文献】
自分の体を守る正しいデータを持てなかった女性たちへ
生理で知っておくべきこと
予防医療コンサルタント 細川モモ

溝口ファミリークリニック
静岡県袋井市浅岡45-1
電話番号 0538-23-8300
院長 溝口哲弘

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